" /> 悪人 吉田修一 感想 | 本読み広場

悪人/吉田修一 感想(ネタバレなし)

日本の小説

果たして悪人とは‥。悲しみ・苦痛・悪を描くヒューマンミステリー。

どんな物語?

2007年(平成19年)の作品

人気のない峠で保険外交員の石橋佳乃が、死体となって発見された。

彼女は出会い系サイトなどを利用していたとの噂があるなか、一人の大学生が参考人として挙げられた。

事件の当事者に関わる様々な人間の視点を通して、それぞれの人間性と、彼女に何が起こったのかが描かれる。

感想

果たして「悪人」とは誰なのか?

そんな思いを持ちながら、一人一人の登場人物の気持ちを読み進めていくのが、非常に興味深く面白かったです。

物語は殺人事件を軸に展開されますが、印象深く描かれるのは、その当事者や取り巻く人々の心の中の様々な「悪」や「愛の形」という人間模様です。

それは、時には思わず共感を覚えるようなものもありますし、とてもではないけど受け入れられないものなど様々に表現されます。

そして、そんな多様な思いを抱えた若者たちにも、絶対的な味方である保護者達が存在し、彼らの身内を守る、強い愛情の表現は、身にしみて共感を誘います。

悪事を抱えていながらも、愛の形を深く描いた様子には引き込まれ、その悲しい逃避行はページをめくる手を止めさせません。

殺人事件というものが存在するので、物語全体を悲しい雰囲気が覆っていますが、ふと現れる前向きな決心などには、一筋の光が見えるような美しさを感じました。

映画もあるので、そちらも是非見たいと思いますし、またいつか読み返してみたいと思える一冊でした。

こんな人におすすめ

様々に描かれる悪の心理というものを感じてみたい人

事情をかかえながらも互いに魅かれてゆく、悲しい逃避行に興味を持った人

ここまで読んで頂き、ありがとうございました!

興味を持たれた方は、是非とも本作品を体験してみて下さい!

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