" /> 午後の曳航 三島由紀夫 感想 | 本読み広場

午後の曳航/三島由紀夫 感想(ネタバレなし)

日本の小説

僕たちが許しているのだ。父親、教師ら塵芥(ごみ)の存在を。

新潮社HPより

どんな物語?

主な登場人物は十三歳の登、登の母で未亡人の房子、二等航海士の竜二の三人になっていて、三人それぞれの視点で物語は進みます。

竜二と房子の、二人の距離が縮まっていく様子は穏やかに、時には幻想的に描かれていますが、登の物語はやけにインパクトが強いです。

感想

船上での生活というのは恐らく、海が荒れたりして、転覆するのではという恐怖を味わうこともあるのだと思います。

竜二は身寄りもなく、「海が好きだというよりは、陸が嫌い」という感覚で船に乗っていて、同じ船の乗務員とのおしゃべりもあまり好きではありません。

命がけの航海を、クールな精神状態でこなしている竜二は、無口で逞しいイメージです。

三十三歳の房子も、良人から引き継いだ雑貨店を取り仕切っていて、立派なひとかどの大人です。

まあ、雰囲気はお金持ちのご婦人と言ったところでしょうか。

そして、物語の中でひときわ異彩を放つ、十三歳の少年、登。

当然ながら、まだ子供の部分も多分にあるのですが、彼は自分のことを天才だと確信しています。

そして、登に多大なる悪影響を及ぼしていると思われる「首領」がいます。

「こんな子供が近くにいたら絶対嫌だ」とみんなが思える悪役です。

大人を見下し、登を含む、一号から五号までの子分を持ち、思想的な面での影響を強く与えていきます。

確かにずいぶん賢いとは思います。

言ってることも小難しいし‥。

この子供たちの行動については、ここでは触れません。

竜二と房子の距離が縮まるにつれて、登との接点も増えてきますが、問題が起きた時でも決して感情的にならない竜二。

房子の息子ということで、多少の計算があったとしても、好かれようと思っているという、そんな竜二に、読者が好感を持ち始めたころ、話はダークな展開に進んで行きます。

こんな人におすすめ

海の男と陸の女の、大人の恋愛の雰囲気を味わいたい人

子供でありながら、大人を蔑み欺こうとする、不気味な少年たちの行動に興味を持った人

興味を持たれた方は、是非とも本作品を体験してみて下さい!

ここまで、読んで頂き、ありがとうございました!

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