" /> 仮面の告白 三島由紀夫 感想 | 本読み広場

仮面の告白/三島由紀夫 感想(ネタバレなし)

日本の小説

この告白によって、私は自らを死刑に処す――。

新潮社HPより

どんな物語?

幼少期からの、自らの心の中を告白する物語。

女性に欲求することなく、たくましい男に魅かれていく。

周りの友人とは違う方向に、欲求が向いていることに気付いた少年は、どのように自分と向き合っていくのか。

少年は、友人らと同じ興味を持つ「演技」を続けながらも、自分の欲望には逆らえない。

そして、そんな少年にも、美しいと思える女性が現れる‥‥。

感想

なんだか人の秘密を覗き見ているような、背徳感があります。

そして何といっても圧巻なのが、主人公が悩んでいる時の表現です。

これでもかと日本語を駆使して、現される状況は主人公の悩みにそのまま引きずられて行きそうになります。

男性に興味を魅かれて行く主人公の、心の中の告白を読んでいるうちに、普段は異性に興味がある人でも、思わず主人公の憧れを共有しそうになる瞬間もあるかもしれません。

日本語を駆使すると言うことで、他に挙げられるのが、見たことのない熟語も印象深いです。

例えば、

痼疾(こしつ)→ 容易に治らないで、長い間悩まされている病気。

偏頗(へんぱ)→ 考え方や立場などが一方にかたよっていること。

清冽(せいれつ)→水などが清らかに澄んで冷たいこと

など、読み飛ばすにしては、ちょっと気になる熟語もあり、調べながら読んでいくと、理解も深まり、楽しめると思います。

この作品の発表は昭和24年(1949)です。

令和の今でこそ、同性愛を扱った物語も沢山ありますが、その当時はこのテーマと圧倒的な文章力で、かなりの話題作だったのではないでしょうか。

こんな人におすすめ

これぞ、三島文学!というものを味わって見たい人

「同じ系統のものばかり読んでいるな‥‥」と、自分の本選びにマンネリを感じている人

興味を持たれた方は、是非とも本作品を体験してみて下さい!

ここまで、読んで頂き、ありがとうございました!

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