" /> 八甲田山死の彷徨 新田次郎 感想 | 本読み広場

八甲田山死の彷徨/新田次郎 感想(ネタバレなし)

日本の小説

愚かだとわらうのはたやすい。だが、男たちは懸命に自然と闘ったのだ。

新潮社HPより

どんな物語?

日本とロシアが戦争になった場合、重要になると思われる、八甲田山を縦断する道路。

しかし、冬季は雪が深く、移動が可能かどうか全くの不明です。

そこで、二つの部隊が、研究的雪中行軍を行うことになりました。

青森から弘前へ向かう 神田大尉 五聯隊

弘前から青森へ向かう 徳島大尉 三十一聯隊

それぞれの隊は、どのような境遇で、どのような決断をし、どのような結末を迎えるのでしょうか?

感想

全体としては、神田大尉と徳島大尉の二人の指揮官の構想と決断の違いが、隊員の明暗を分けていくということが、この物語の最大の見所だと思います。

出発前に、すでに不安を抱えている部隊は、分かりやすい不安要素はそのまま、生命の危機に直結していきますし、二つの部隊の進行状況を読んでいると、こんなところからでも違いが出てくるのかと、ハラハラし通しです。

もし、自分がその隊にいたとしたら、恐らく指揮官としての立場ではなく、その他大勢の隊員になると思います。

その場合、極寒の吹雪の中で、今の状況が想定内なのか、想定外なのかの分からず、進んで行かなくてはならない不安。

想定される中で、最悪の状況である死の恐怖との戦いや、そこまでならなかったとしても、凍傷にかかる恐怖もあるでしょうし、ほっと気が抜ける瞬間がひと時もないので、正気を保つことも困難だと思います。

自分の地位を利用して、絶対服従を求める上官、頼もしいふるまいで、自然とまわりの人間に安心感を与える案内人など、場面場面の指揮者のあり方の見比べもできるところも見所の一つだと思います。

こんな人におすすめ

生命力の限界ともいえる極寒の中で、兵隊たちはどのような過酷な状況になってしまったのかを、読書を通じて体験してみたい人。

様々な指示者のあり方を感じて、自分の生活にも参考にしたい人。

興味を持たれた方は、是非とも本作品を体験してみて下さい!

ここまで、読んで頂き、ありがとうございました!

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