妻だけは、抱けない。夫以外の男に、溺れる。【谷崎のスキャンダラスな私生活を反映した問題作】
新潮社HPより
どんな物語?
お互いの愛情がすっかり冷めてしまった、ある夫婦が主人公です。
二人には子供がおり、子供に気兼ねして離婚の話を中々進めることができませんし、そもそも、スパッと離婚を決断するほど、気持ちが固まっているわけでもありません。
又、妻には夫公認の恋人がいて、足しげく彼のところに通っているという、かなり変わった関係です。
さて、そんな三人家族の行く末は‥‥。
感想
まず作品名を聞いて思いつくのは、「蓼食う虫も好き好き」=辛い蓼を食う虫があるように、人の好みはさまざまである」(広辞苑)。ということわざだと思います。
ちなみに私は、蓼なんて言葉は、このことわざでしか聞いたことがありません。
ということで、本作品の題名の意味合いとしては、「普通は選ばないものを選ぶ人(虫)」ということになるのでしょうか。
夫婦の関係というのは、それぞれの二人のものなので、本人たちが良ければ、何が変わっていて、何が普通なのかというのは、何とも言えません。
ただ、本作の二人は小説の題材になるだけあって変わっていて、やはり二人の決め事も変わっています。
結局は他人の話なので、お互いが良ければそれでいいんじゃない、と思いながらも、何でそういう結論に至るのかということ。
そしてまた、二人で決めたルールの結果、どうなって行くんだろう、という興味が湧き出て来て、ついついページが進んでいきます。
又、現在ではあまりふれることのない、人形浄瑠璃を見に行く場面もありますが、何だか本作品の発表当時の、娯楽に触れている感じがして、興味深く読みました。
こんな人におすすめ
赤の他人のちょっと変わった夫婦関係を、のぞき見してみたい人
人形浄瑠璃の世界を、物語の登場人物の視点を通して感じてみたい人
興味を持たれた方は、是非とも本作品を体験してみて下さい!
ここまで、読んで頂き、ありがとうございました!
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