記憶が八十分しか持たない「博士」と家政婦親子の温かいやりとり。
どんな物語?
家政婦の「私」が派遣された「博士」は、記憶が八十分しか持ちません。
博士はある事故をきっかけに記憶の蓄積ができなくなってしまっているため、消えない記憶は、事故前の記憶のみと言うことになります。
家政婦の「私」も毎回初対面として、日々通うという状況です。
しかしその内に「私」の息子も輪に仲間入りして、博士と過ごす空間の温かいやり取りが描かれます。
感想
記憶が八十分しかもたない「博士」。
彼にとって、それはどんな世界なのでしょうか、
昨日の出来事は覚えていないし、小説や映画にしても、記憶しておくことができないということになります。
博士の服には、様々なメモが貼り付けられていて、その中の一つに「私は記憶が八十分しかもたない」と貼られています。
ということは、それに気づき、「えっ、俺って‥‥」と、絶望する瞬間というものも毎日訪れるわけで、その苦しさと悲しさは計り知れないものだと思います。
博士は数学専門の元大学講師であり、豊富な数学の知識があり、なおかつ数字を愛しています。
それは、決して独りよがりではなく、特別には数学に触れてこなかった「私」にも影響を与えて行き、読者にとっても、何となく知的好奇心を充たされたような、気持ちになってくるのがとても心地いいです。
物語の主要登場人物におじいさんがいるというのは、あまり読んだことがないですが、おじいさんと若い世代の人たちの交流など、ほのぼのとしたやりとりが続き、読んでいて温かい気持ちにさせられる作品でした。
こんな人におすすめ
恋愛感情とも友情ともちょっと違った、愛情を交わす、おじいさんと女性とその息子の、温かいやり取りを感じてみたい人
数字に関する知識を得る楽しさを、登場人物と共に味わってみたい人
ここまで、読んで頂き、ありがとうございました!
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