" /> 二つの祖国 山崎豊子 感想 | 本読み広場

二つの祖国/山崎豊子 感想(ネタバレなし)

日本の小説

「私はアメリカの敵だったのでしょうか」
戦時中、祖国アメリカ・日本の間で必死の思いで生き抜く、日系アメリカ人の人々のつらく悲しい現実を描く大作

どんな物語?

1983年(昭和58年)の作品

アメリカで日系人向けの新聞記者をしている賢治は、日本の真珠湾攻撃をきっかけに、強制収容所へ入れられることになります。

その後は時には罪人のように、時には能力を買われてアメリカ軍人として重要な任務に就いたりと、様々な境遇のなかで生きていきます。

アメリカの軍人として働くことは、日本に被害を与えることになってしまうという状況のなか、アメリカと日本の二つの祖国の間で、賢治は様々な形で苦悩を感じながら、生きていきます。

感想

物語に引き込まれ、心を揺さぶる大作だと思います。

賢治の悩み、苦痛、悲しみ全てが心に刺さってきますし、様々な境遇の登場人物も存在感があり、ページをめくる手が止まりません。

血は日本人でありながら、アメリカ国籍を持つ日系アメリカ人賢治は、日本とアメリカの開戦により、複雑な環境に追いやられてしまいます。

祖国だと思っていた国に、敵のような扱いを受けた時の悲しみはどれだけだったでしょう。

生き方にはそれぞれあります。

賢治の周りにも、アメリカ側につく人と日本につく人とが存在します。

当然、それもその人の考えなので間違いではないのですが、賢治はそう割り切れるわけでもありません。

さらに、自分の中の葛藤と対峙するのも大変なのに、アメリカ軍人として熱心に任務をこなしていたとしても、完全にはアメリカ人として受けいられていない空気を感じてしまうこと。

これが大きな悲しみの一つだと思います。

戦争が主題となっている物語なので、ハッピーエンドは有り得ないのですが、こんな悲劇の形のあるのかと新たな発見がありましたし、重厚な存在感のある登場人物たちの生きざまをこれでもかと描いてくる読み応えを味わうために、定期的に読み返していきたい作品でした。

こんな人におすすめ

真珠湾攻撃から東京裁判までの、史実に基づいた時代の流れの中で、必死に生き抜く人々の感情を感じてみたい人

分かりやすく、重厚感あふれる物語に興味を持った人

ここまで読んで頂き、ありがとうございました!

興味を持たれた方は、是非とも本作品を体験してみて下さい!

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