濃厚で圧倒的なスケールでせまる、驚愕の読書体験。
「人類を絶滅させる可能性のある、未知の生物」の存在を発端とした、一大エンターテイメント!
どんな物語?
2011年(平成23年)の作品
アメリカの大統領のもとに「人類絶滅の可能性、アフリカに未知の生物が出現」
との最高機密の情報が届く。
国の上層部が計画した作戦に参加することになった、元クリーンベレーのジョナサン・ホーク・イエーガは何の説明も受けることができないまま、危険だが高報酬という任務を紹介されるが、難病で苦しむ息子のため、過酷な選択をすることになる。
一方で、研究者である父を亡くしてしまった古賀研人は生前に父が残したメッセージを受け取り、未知の研究を引き継ぐことになる。
命の保障はできないほどの、危険な任務を引き受けたイエーガと、亡き父の未知の研究を引き継ぐことになった研人。
二人の行く先には、想像を超える驚愕の事態が待ち構えていた。
感想
イエーガ達が立ち向かう、命がけの任務のエンターテイメント性には、ハリウッド映画を見ているような、手に汗握る緊張感とスピード感が感じられ、読者に強烈な印象を残します。
それでいて、物語の背景や登場人物は詳細で複雑に描かれており、厚みを持ったストーリー構成は圧巻です。
時にあまりにも残虐な行為が行われることもありますが、戦争というものの無残さ、人間の愚かさや心の奥に秘められた残虐性など、非現実的な状況が緊張感と悲しみをもたらします。
そしてもう一人の主人公である、研人は研究者ということもあり、突き詰めるほどに表現される専門的な研究の進行過程には、作家の知識と綿密な取材の熱量が伝わって来ますし、フィクションを超えたリアリティあふれる設定を楽しむことができます。
ただし、私のように理系の専門用語に馴染みのない人間でも、ストーリーの流れに乗って十分に楽しめましたので、そこまで構える必要はないと思います。
途中から見えてくるある使命に向かい、試行錯誤を繰り返していく中での研究者同士の会話で、あきらめかけている友人に「無理だ、とは言わない人たちが、科学の歴史を作ってきたんだよ」と優しく叱咤するセリフが心に残りました。
戦地にいるイエーガと日本にいる研人の物語が交互に描かれる中で、物語の前半に散りばめられた様々な謎が、後半になって明らかになっていく様子には爽快感を感じられましたし、「濃密で、圧倒的な面白さを持つ、知的エンターテイメント」を求めている読者にとっては、おすすめの傑作と言えると思います。
こんな人におすすめ
世界を股にかけた、スケールの壮大さを感じられる物語を求める人。
圧倒的な面白さを持つ、知的エンターテイメントを求めている人。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました!
興味を持たれた方は、是非とも本作品を体験してみて下さい!






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