金閣を焼かなければならぬ。破滅に至る青年の「告白」。
新潮社HPより
どんな物語?
1956年(昭和31年)の作品。
昭和25年に実際に起きた、金閣寺の放火事件を題材に描かれました。
金閣寺に預けられた主人公は、当初は寺の跡取りにもなれるような見方をされていましたが、成長していく過程で、様々な悩みや経験をしていくうちに、それも変化をしていきます。
事件に至る中での様々な、主人公の心の中が赤裸々に語られます。
感想
「三島由紀夫といえば、どの作品?」と聞かれていくつか作品を挙げるとすると、大体の人はこの作品も入ってくるのではないでしょうか。
やはり、代表作ということもあり、「難しいのでは」という思いもよぎりましたが、そこまで難解な表現はなく、自然に読み切ることができました。
独白調で進んでいくこの雰囲気が独特で、引き込まれます。
主人公は、初めはある程度の期待もされていて、これからも上り調子の生活を歩むことができるような環境にいたはずですが、いつのまにか少しづつ下り調子になっていく様子が何とも言えず、読んでいて悲しい思いがあふれてきます。
ところどころに主人公が迎える、善と悪の分岐点のようなものが、些細ながらも確実に今後の人間形成に影響を与えていくような気がします。
また、同じく主人公に影響を与えていく友人の存在もありますが、読んでいるこちらにまで、スッと悪い気を刷り込んでくるかのような人間性を持っていて、この存在にも興味をひかれます。
金閣寺は美しいという思いが強く表現されていますが、思う気持ちが強くなるごとに、まるで心を支配されていくかのような様子が印象的です。
少し間を空けて、また読み返したいと思う作品でしたし、個人的には過去一度しか見たことない金閣寺を。この物語をイメージしながら実際に見てみたくなる気持ちが湧いてきました。
こんな人におすすめ
金閣寺の美しさに心を奪われた主人公と、その思いが変化していく様子を見てみたい人。
三島由紀夫の代表作に触れてみたい人。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました!
興味を持たれた方は、是非とも本作品を体験してみて下さい!

コメント