" /> 細雪 谷崎潤一郎 感想 名作 | 本読み広場

細雪/谷崎潤一郎 感想(ネタバレなし)

日本の小説

個性的な四姉妹が織りなす日常を美しく描いた、谷崎文学の最高峰。

どんな物語?

1948年(昭和23年)の作品

戦前の大阪の旧家である蒔岡(まきおか)家を舞台にして、四姉妹の日常生活が描かれる。

物語の中心となるのは、非常に美しい女性でありながらも、なかなか縁談がまとまらない三女の雪子と、雪子のために奔走する次女の幸子。

古き良き蒔岡家を守っていこうとする長女の鶴子。

新しい時代の女性を追求していく四女の妙子。

個性的な四姉妹が織りなす日常を美しく描いた、谷崎文学の最高峰。

感想

読もうと決心するまで何年もかかりました。

と言うのも、「細雪(ささめゆき)」という芸術的な雰囲気の題名といい、文庫にして三巻分というボリュームといい、つい、「読み始めてつまらなかったらどうしよう」という不安が浮かんでしまい、物語の途中でギブアップするのが何となく嫌な私としては、長い間手に取るのをためらっていました。

しかし、いざ読んでみると登場人物たちの日常のやり取り、雪子の見合いの様子や葛藤、何かと妹たちを気にかけている幸子の様子など、読み手に共感を与えながら、物語が進んで行く様子はとても穏やかで、「名作に挑戦するぞ!」といった気合は必要がなく、自然に文章に身を任せる感覚が非常に心地よかったです。

物語のは三女の雪子の様子を中心に描かれますが、次女の幸子が雪子や四女の妙子のために、奔走して苦労していく様子は、本人たちはとても苦労しているのに、私としてはそれが微笑ましく、そして面白くもありました。

四姉妹からは、昔からのしきたりを守ろうとする精神や、新しい時代に踏み込んでゆく気持ちなど、いろいろな考え方を当時の時代の雰囲気を感じながら味わえるという、貴重な読書体験を味わうことができたと思います。

様々なジャンルの小説が存在する現在ですが、次に読む一冊に悩んだ時や、ストーリーに振り回されて頭をリセットしたい時にまた、この王道とも言える文学に身をゆだねてみたいと思います。

こんな人におすすめ

登場人物を通して、当時の日常生活や習慣を感じてみたい人

谷崎文学の最高峰に触れ、深く豊かな読書体験を味わいたい人

ここまで読んで頂き、ありがとうございました!

興味を持たれた方は、是非とも本作品を体験してみて下さい!

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