" /> 【聖の青春】病と闘いながら将棋に生きた天才棋士の壮絶な「生」の記録 | 本読み広場

【聖の青春】病と闘いながら将棋に生きた天才棋士の壮絶な「生」の記録

現代文学(平成・令和)

難病を抱えながらも将棋に全てを賭けた天才棋士、村山聖の青春時代と、彼を取り巻く人々の温かい交流を描いた感動のノンフィクション。

作品の位置づけと著者・大崎善生

著者である大崎善生氏は、将棋の専門誌の編集者というキャリアを背景に持ち、長年、将棋界の内側から棋士たちの人生と勝負を見つめてきた人物である。その経験から、単なる伝記ではなく、勝負師の生々しい実像と、彼の内面にある純粋な情熱を深く掘り下げることが可能となった。

本作は、将棋という閉じた世界を題材にしながら、病気、親子、師弟関係といった普遍的なテーマを描き出し、ノンフィクション文学として高い評価を得た。この作品は、将棋界を一般に広く伝え、人間ドラマとしての価値を確立した点で、日本のノンフィクションに大きな影響を与えたといえる。

どんな物語?

2000年(平成12年)の作品

難病「ネフローゼ症候群」を抱えながら、幼少期から将棋一筋で生きた村山聖(さとし)の青春時代を描いたノンフィクション小説である。村山は、師匠・森信雄と出会い、その才能を開花させる。彼は、病気のハンデや体調不良に苦しみながらも、「将棋指し」としての道をひたすらに追求し、プロ棋士として大阪へと進出する。物語は、彼が将棋界の頂点を目指し、天才・羽生善治ら「羽生世代」のライバルたちと激戦を繰り広げる日々を中心に、彼の壮絶な生き様を克明に記録している。

感想(ネタバレなし)

この小説を読んで、まず胸を打たれたのは、主人公である村山聖という一人の人間が持つ、将棋への底知れない情熱と、それとは対照的な肉体の苦悩です。彼は難病を抱え、健康な体で戦うライバルたちとは異なる次元のハンデを背負いながら、ひたすらに盤面に向き合い続けます。その姿は、痛ましいというより、むしろ美しく、そして猛烈に熱いものとして心に響きました。

特に、無類の強さを発揮し、昇級・昇段と昇り詰めていく様子はとてもカッコよくて、強いものへの憧れを感じさせます。プロの世界、勝負の世界の厳しさと、その中で力を発揮し続ける彼の才能と努力には、本当に圧倒されます。

また、彼の周りには、彼の才能と人間性を深く理解し、支え続けた人々がいます。中でも、師匠とのやり取りはとても温かみを感じることができます。将棋の技術だけでなく、人生そのものを教え、受け入れてくれる師弟の絆は、この作品の大きな感動要素です。師匠の森信雄九段との関係は、血縁を超えた愛情と信頼に満ちており、彼の過酷な人生において、どれほど大きな光であったかを感じ取れます。

試合の様子は、並べ方程度しか将棋を知らない私でも、その描写によって、彼らが盤上で繰り広げた「魂のぶつかり合い」の熱量が伝わってきて、胸が高鳴りました。作品の巻末には実際の棋譜も紹介されているので、詳しい方はより一層楽しめるのではないでしょうか。しかし、これは単なる将棋の記録ではなく、限りある人生の中で何を成し遂げられるかという、普遍的な問いを投げかけてくる、稀有なノンフィクションの傑作です。

こんな人におすすめ

  1. ノンフィクションが好きで、実在の人物の壮絶な生き様に触れたい人
  2. 将棋の知識がなくても、勝負の世界の熱量や感動を味わいたい人
  3. 師弟の絆や、人を支える無償の愛情に心を動かされたい人
  4. 難病と闘いながらも夢を追い続けた、強い精神力から勇気をもらいたい人
  5. 「生きるとは何か」「命を燃やす」ことの意味を深く考えたい人

読んで得られる感情イメージ

  • 純粋な熱情と感動:人生を賭けた勝負師のひたむきな姿に触れる熱い感動
  • 生きる勇気と強さ:難病というハンデを乗り越えようとする意志から得られる力
  • 深い愛情と絆:師匠や家族、ライバルとの温かい交流に触れる穏やかな感情

読みどころはココ!登場人物・設定の深掘り

『聖の青春』の読みどころは、主人公・村山聖の圧倒的な存在感に加え、彼を取り巻く二人の「天才」と「指導者」の描写の深さにあります。

まず、彼の最大のライバルである羽生善治七冠(当時)の描写です。羽生という存在は、村山聖にとって「倒すべき目標」であると同時に、彼自身の「将棋への探求心の象徴」でもありました。小説では、羽生の冷静で理論的な強さと、村山の直感的で感情的な強さが対比され、この二人の天才が織りなす「最強のライバル物語」としての魅力が最大限に引き出されています。将棋の天才同士が互いを認め合い、高め合う関係性は、胸を熱くします。

次に、村山をプロ棋士へと導き、最後まで精神的な支えとなった師匠・森信雄九段の存在です。森師匠は、村山の病気のことも、自由奔放な性格も全てを丸ごと受け入れ、将棋という枠を超えた、人間としての成長を見守ります。彼の師弟関係は、厳しさの中に無償の愛が満ちており、村山が過酷な運命の中で折れずに進み続けられた最大の要因であったことがわかります。彼らの温かいやり取りこそが、この物語に深みと温かさを与えています。

さらに、小説には家族や将棋関係者の細やかな献身も描かれています。彼らの支えによって、村山聖の「一途に将棋に賭ける青春」が成立していたことが理解でき、読者は人間関係の暖かさという普遍的な感動を得ることができます。

将棋界の歴史を変えた「羽生世代」の光と影。熱きライバルとの戦いが教えてくれるもの

この作品は、日本将棋界の黄金期を築いた羽生善治と村山聖という二人の天才の対比を通じて、才能と運命、そして勝負師の孤独という普遍的なテーマを深く考察する機会を読者に提供します。

読後の余韻をどう楽しむ?

読了後、村山聖が、限りある命の中で、なぜこれほどまでに将棋にこだわり、全力で生きたのかという問いを深く考えてみてください。彼の「生」は、私たち読者にとって、「人生における時間の使い方」と「情熱を傾ける対象の価値」を問い直す、鏡のような役割を果たします。

彼の人生は、「人生は長さではなく、密度である」という哲学的な視点を与えてくれます。また、本書を読み終えた後で、彼のライバルであった羽生善治九段に関する書籍や、当時の将棋界のドキュメントを読み進めることで、この物語が描いた時代の熱狂と、彼らの戦いの意義をさらに多角的に楽しむことができます。

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