" /> 神話の果て 船戸与一 感想 | 本読み広場

神話の果て/船戸与一 感想(ネタバレなし)

日本の小説

破戒工作員たちの命がけの死闘。

どんな物語

1985年(昭和60年)の作品

アメリカの鉱業会社から、ゲリラ組織を破壊するという依頼を受けた、破戒工作員志度正平は、その指導者を抹殺すべく、同胞と共にペルーへ飛び立ちます。

目的地に向かうには、六十キロ程は徒歩という過酷な状況が待ち受けています。

そしてその先に志度達を待ち構える過酷な運命と、志度を取り巻く様々な思惑がひしめき合い、交錯していきます。

感想

前に読んだ「山猫の夏」から続く、南米三部作の内の二作目の作品です。

とは言っても続きではなく、個々で完結している別の物語になっていますので、読む順番は特に気にする必要はありません。

そして面白さは期待通りに前作同様であり、ページをめくる手が止まらなくなるほどです。

海外が舞台ということで、登場人物もほぼ外国人になっているのですが、カナカナの名前が続く中、主人公の志度正平という日本人がいることで、不思議と親近感が生まれます。

描かれるのは、破戒工作員としての息詰まる任務や、遭遇する敵との戦いだけにとどまらず、その背景にあるペルーの歴史や政治の現状の詳細の部分にも及びます。

それが物語に厚みを持たせ、登場する人々の感情に共感することができます。

破戒工作員という主人公の立場と、原住民によって築かれるゲリラ組織。

その様々な思いを知り、物語で感じることで共感が深まり、「おもしろかった」という読書体験につながると思います。

一方的に植民地にされてしまった歴史を持つ原住民にとっては、私の想像を遥かに超えた、やりきれない思いが根付いているのかなと思いました。

誰にも心を許せる状況ではない環境にありながらも、強い意志で任務遂行に向けて走ってゆく主人公の強い意志。

その運命に是非とも立ち会ってみて下さい。

こんな人におすすめ

命がけの任務を遂行する緊張感を、じっくり味わいたい人

工作員たちの、それぞれの任務完遂への手段に興味がある人

ここまで読んで頂き、ありがとうございました!

興味を持たれた方は、是非とも本作品を体験してみて下さい!

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