" /> 天国までの百マイル 浅田次郎 感想 | 本読み広場

天国までの百マイル/浅田次郎 感想(ネタバレなし)

日本の小説

ろくでなしだけど、人でなしではない!そんな思いで駆け抜ける百マイル

どんな物語

1998年(平成10年)の作品

エリートばかりの兄姉を持つ安男

安夫は破産者で金もなく、女房子供にも愛想をつかされてしまった。

そんな中、安男たち四人兄弟を女手一つで育ててくれた母親が、心臓に重い病気を抱えてしまう。

反応が薄い兄たちを尻目に「俺はろくでなしだけど、人でなしではない」とばかりに、重病人の母を乗せ、わずかな可能性にかけて、百マイル離れた天才医師の所まで出発する

感想

これは直球で心に響いてくる、愛情の物語です。

仕事においても、プライベートにおいても全くうまくいっていない安男。

裕福な社長と破産を経験してきた安男に対する周りの冷たい視線や、あからさまな手のひら返しに、読んでいてつらい気持ちが心にしみてきます。

しかし、それがあることによって、それとは逆に所々で存在する、手を差し伸べてくれる人たちの温かさが心に響きます。

重要なカギを握る、運命の人に初めてあった場面では思わず涙しましたし、他にも安男に最大の安息を与える人物の存在が、あたたかい感動をもたらし、感動の涙を誘います。

そして、それぞれの少しの優しい気持ちが作用し、母の命を守るという大きな力につながっていく様子は、読んでいるこちらまでが、元気が出てくるような熱い気持ちを感じることができます。

母親と安夫のあたたかく、時にはチクリと厳しいやり取りには、毎回ほろりとさせられて、母親の子供を思う気持ちというものの強さを感じられます。

登場人物たちが迫られる運命の選択肢がいくつかある中で、自分の信じた道を希望に向かって突き進むことの大切さというものを、強く感じました。

こんな人におすすめ

人生が落ち目になったように見えた人が、復活に向けた力を生んでいく様子を感じてみたい人

人と人のつながりの尊さを感じてみたい人

ここまで読んで頂き、ありがとうございました!

興味を持たれた方は、是非とも本作品を体験してみて下さい!

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