校内で亡くなった少年に何が起こったか?混乱を極める濃厚ミステリー。
どんな物語?
2016年(平成28年)の作品
夏のある日、中学校内で男子生徒が死体となって同校の教師に発見された。
事故か事件かも分からないまま、四人の生徒が被疑者として挙げられた。
亡くなった生徒と被疑者の親は混乱し、学校も混乱の中心となって巨大な負のエネルギーに巻き込まれてゆく。
又、それと並行して生徒の死までの、生徒たちの人間関係が描かれる
感想
少年の死にまつわる物語ということで、重く苦しい展開がつづきますが、圧倒的な重厚感と心が締め付けられるような感情の揺さぶりがあり、読み応えのある一冊です。
校内で在校生の少年が命を落とすという、重大な事態の中、教師、保護者、刑事、新聞記者と様々な視点からの事件との向き合い方が、緊張感を高めます。
読みどころはたくさんありますが、特に印象深いものを三つ挙げたいと思います。
まず一つは、現場となった学校の教師たちの葛藤です。
被害者の保護者、加害者とされる生徒たちとその保護者、在校生に挟まれて、その対応は困難を極めます。
教師たちの間にも様々な立場がある中で、混乱や覚悟などの感情が入り乱れる様子が描かれます。
二つ目は、被害者と加害者の保護者達の混乱です。
まだ中学生の子供が亡くなるという究極の悲しみを味わってしまった遺族。
今まで普通に暮らしてきたのに、突然加害者とされてしまった自分の子供に対する混乱と警察への反感。
それぞれの行動には、悲しみや苦しみの中、少しでも希望に進みたい一心で必死にもがく様子は苦しくて、そして悲しみを誘います。
そして三つめは、少年の死までの様子の生徒たちの様子です。
子供と大人の狭間という多感な年頃で、色々な気持ちを抱えながら生きていく生徒たちの様子は、こちらの共感を誘い、物語に引き込まれ、登場人物1人1人の葛藤や苦しみが、読者の心にも鋭く突き刺さってきます。
最後のページまで、少しも目が離せない展開で、読後もしばらくは放心状態になって物語の事を考えてしまうというような、そんな濃厚な作品でした。
こんな人におすすめ
重厚な社会派ミステリーに興味がある人
人間の心の闇や葛藤に触れたい人
ここまで読んで頂き、ありがとうございました!
興味を持たれた方は、是非とも本作品を体験してみて下さい!

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