" /> 遠き落日 渡辺淳一 感想 野口英世 | 本読み広場

遠き落日/渡辺淳一 感想(ネタバレなし)

日本の小説

ハンディキャップに屈することなく突き進む、野口英世という偉大な科学者の物語

どんな物語?

1979年(昭和54年)の作品

貧しい家に生まれた野口英世は二歳半の時に左手に大やけどを負ってしまう。

英世の強き母であるシカの「手が不自由だから百姓はできないが、勉強で見返してやれ」という考えのもと、勉強に打ち込み、優秀な成績を発揮する英世。

その後、「自分のように体の悪い人を治してあげたい」とういう考えを持った英世は、医者を目指し、医療の世界に飛び込んでゆく。

感想

野口英世の生涯を描いたこの作品は、子供向けの伝記のイメージとは違い、研究に対する情熱や、苦悩、そしてこれでもかというほどの借金を重ねていく様子など、生身の人間としての野口英世が壮大なドラマとして描かれています。

貧困や不自由な左手などの様々な困難を抱えながらも、それに屈するどころか自身の原動力として、ひたすらに努力して生き抜いていく様子には、心を揺さぶられます。

実際私は野口英世のイメージは、恥ずかしながら、千円札の人、有名な偉人、という漠然としたものでしかありませんでしたが、後に偉人と呼ばれるほどの実績を持ちながらも、一方では決して聖人君子とは言えない面も併せ持った人柄は、時には共感を呼び、とても魅力的に感じられます。

印象深かったのは、実績以前の段階で、人間発電機というあだ名をつけられたり、「野口はいつ起きて、いつ寝ているのか」などと噂されるほどに、努力に努力を重ねていく様子です。

目標に向かってひたむきに走り続けることの尊さを、感じずにはいられません。

この作品は、野口英世という一人の人間の波乱に満ちた生涯を通して、努力、挫折、そして希望というテーマを鮮やかに描き出しています。

人生に迷いや困難を抱えている人にとっても、多くの熱量を与える力があると思いますし、野口英世の生き様は、自身の状況を打開するための多くの発見と勇気を与えてくれるはずです。

こんな人におすすめ

いいところも悪いところもある、生身の野口英世に興味を持った人

野口英世の研究に対する圧倒的な熱量を感じてみたい人

ここまで読んで頂き、ありがとうございました!

興味を持たれた方は、是非とも本作品を体験してみて下さい!

コメント

タイトルとURLをコピーしました