" /> 山猫の夏 船戸与一 感想 | 本読み広場

山猫の夏/船戸与一 感想(ネタバレなし)

日本の小説

殺し合いの絶えない町に現れた男、山猫(オセロット)
関わる全てを支配していく様子は圧巻!

どんな物語

1984年(昭和59年)の作品

叔父を頼ってブラジルに行き、ここエクルウという町で暮らす「おれ」

ある日この街に現れた山猫と名乗る日本人は、この街の勢力を二分するファミリーの一つからある依頼を受けてエルクウにやってきました。

「おれ」もいつしか山猫の支配下になり、命がけの任務に巻き込まれることになっていきます。

感想

とりあえず、おもしろいの一言に尽きます。

先の読めないストーリー展開とドキドキ感。そして伏線の数々。

そして、主人公の「山猫」を取り巻く「おれ」をはじめとする登場人物の一人一人に存在感があって、ページをめくる手が止まりません。

物語の舞台はブラジル北東部にある、人口二千人の小さな町。

私は何となく西部劇をイメージさせるような土地を想像しながら読んでいました。

物語の舞台には馴染みはありませんが、語り手である「おれ」と主人公の「山猫」も日本人ということで、親近感があるものに感じられます。

「山猫」と「おれ」が、周りに聞かれたくない話を日本語に切り替えて話す場面などは、自分も秘密の話を聞かされたようで、二人に共感する気持ちが高まります。

描かれている大抗争の中心人物になっている山猫ですが、ふるまいは紳士でありながら、戦えば強く、状況に応じて的確な行動を起こしていく判断力や行動力にはたまらない魅力を感じます。

そして何と言っても、何が起こっても動じずに堂々としていることには、読んでいて憧れにも近い感情が高まります。

山猫の他にも印象的に描かれている宿敵がいますが、数多く出てくる敵対勢力のなかでも圧倒的な別格感を感じさせる雰囲気と、強敵であっても決して悪役にならない人物像は大きな読み応えの一つになっていると思います。

冒険小説といってはやや血なまぐさい気もしますが、魅力あふれる登場人物たちと、先の読めないストーリー展開で、読み応えたっぷりの作品だと思います。

こんな人におすすめ

主人公が描く策略の数々に翻弄されてみたい人

目的に向かって命がけの冒険をしてゆく物語で、感情の高まりを感じてみたい人

ここまで読んで頂き、ありがとうございました!

興味を持たれた方は、是非とも本作品を体験してみて下さい!

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