アメリカと闘った戦争が、医学も、日本人のこころも汚してしまった。
新潮社HPより
どんな物語?
戦時中に起きた、捕虜の米兵が、医学上の実験材料として使用された事件が、モチーフとなっている物語です。
そこにはどのような人々が、どんな思いで関わっていたのでしょうか。
物語開始時点での、中心人物は、ある土地に引っ越してきた男性です。
この男性は気胸を患っていて、妻が見つけてきた勝呂という医院を訪ねます。
しかし、男はこの医師が不安であり、嫌でした。
何か、患者の生命本能を怯えさせるものを感じたのです。
その後、男は勝呂医師の存在に好奇心をそそられ、ひょんなことから、勝呂医師の過去を知ってしまいます。
そして、物語の舞台は、事件当時に移ります。
感想
とても重く、暗い情景が浮かぶ中、もし自分がその場にいたら、どのような選択をしていくのか、また、どうして登場人物たちはそうなってしまったのか、自分の中の色々な考えが浮かんでくる物語だと思います。
上司や同僚など、周りの人々が、自分の疑問を持つ方向に進んでいく様子を見ているのは、考えられない不安と恐怖があったと思います。
自分だったら、どうするでしょう?
仕事は失うだろうが、思い切って逃げる
声をあげてやめさせる
あきらめて、流れに任せる
どれも無理な選択肢であり、抜け道はありません。
果たして勝呂医師はどのような選択をしていくのでしょうか?
最後に私が一番、恐怖を感じた言葉を紹介します。
「こいつは患者じゃない」
こんな人におすすめ
戦時中の闇を物語から感じ取り、自分なりに考えてみたい人
自分たちのそれぞれの利益のために、他人の命をないがしろにしてしまうという狂気を感じてみたい人
興味を持たれた方は、是非とも本作品を体験してみて下さい!
ここまで、読んで頂き、ありがとうございました!
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