あの20世紀最大の悲劇を、坦々と、静かな語り口で後世に伝える――小説の力だ。
新潮社HPより
どんな物語?
主人公の重松は、姪の矢須子が原爆症患者だという噂をたてられたことに不安を感じていました。
重松は原爆症と診断されていますが、矢須子は爆心地からは遠くにいたため、被爆はしてなく、健康診断も異常なしの結果をもらっています。
最近になって、もったいないほどの縁談が持ち上がってきているのですが、原爆が落ちた当時の矢須子の足取りを証明するため、その時期の矢須子の日記を重松夫婦は清書し始めます。
それと同時に、重松は原爆症と診断されながらも、生きている自分の「被爆日記」も矢須子の日記と一緒に先方に渡そうとしてその清書も始め、その記述の内容として、当時の広島の惨状が語られます。
感想
実際にあった出来事だとは、信じられないような惨状が語られます。
辺り一面に広がる、無数の死体やつぶれた家。
ひどい怪我を負った、大勢の人達。
重松はそんな惨状を目の当たりにしながらも、生きていくために行動をしていきます。
自分の想像を遥かに超えた、惨状に直面した時でも、絶望することなくコツコツと行動し始める所に、人間の逞しさを感じます。
例えば会社の業務で石炭手配に四苦八苦している所があるのですが、外を歩けば歩くほど、大けがを負った人や、無残な死体の山など、見るに堪えない光景が広がっています。
正直私なら、「外には出たくない」などと、やけになってしまいそうです。
もしかしたら、そんな人もいたかもしれません。
しかし、地道に出来ることをやって、生き続けていく人達には心を動かされます。
こんな人におすすめ
原爆が投下された、広島の惨状を読書を通して体感し、戦争の悲劇を学びたい人
悲惨さを感じ取ることで、今の時代の平和を実感したい人
興味を持たれた方は、是非とも本作品を体験してみて下さい!
ここまで、読んで頂き、ありがとうございました
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