「伝説なき地」で命をかけて繰り広げられる、様々な人間たちのそれぞれの思惑
どんな物語?
1988年(昭和63年)の作品
ベネズエラの名門であるエリゾンド家が所有する、枯れた油田地帯にあると言われる地下資源と、それにからむ利権をめぐる様々な思惑が交錯する。
しかし、かつて無人だったはずのその油田地帯には、マグダラのマリアという若い女性が中心となり、ある強固な団結力をもった集団が結成されていた。
一方、鍛冶と丹波という、二人の日本人によって主導される集団も、運命に導かれるようにその地点に近づいてゆく。
感想
先に読んだ「山猫の夏」「神話の果て」に続く、南米三部作の第三弾となっておりますが、物語自体は、それぞれ独立したものになっています。
私が読んだのは文庫本だったのですが、個人的には経験したことのない、1000ページ超えのフォルムに圧倒されます。
(「どうして上下巻にしないんだ‥」とも思いますが、これはこれで貴重な体験)
さて、肝心の物語ですが、やはり前の二作品同様に気持ちを物語から離さない、ストーリー展開になっていて、期待を裏切りません。
物語が始まってしばらくは、別々の物語が交互に描かれる形で進んで行きますが、それぞれの話の舞台が近づいていく様子が、ワクワク感を高めて行きます。
また人間関係も、敵のような味方、味方のような敵がいたりと、様々な思惑を抱えた面々が集まっていて、その緊張感も途切れることはなく、読者を飽きさせません。
タイトルにもなっているように、伝説にもないような枯れた土地で繰り広げられる、登場人物たちが、命をかけて目的を達成しようとしていく力に感情を揺さぶられ、手に汗をかくようなハラハラした緊張感を感じながら、ページをめくっていくのがとても楽しく感じる事ができる作品です。
こんな人におすすめ
「伝説なき地」だったはずの場所でどんな思惑が生まれ、どんな描写が繰り広げられるのか、興味を持った人
様々な目的と過去を持つ、登場人物たちの生き様を感じてみたい人
ここまで読んで頂き、ありがとうございました!
興味を持たれた方は、是非とも本作品を体験してみて下さい!

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