自刃することに憧れを持った、右翼青年が見たものとは。
どんな物語
1969年(昭和44年)の作品
三十八歳になった本多繁邦は、松枝清顕の世話をしていた書生の飯沼の息子、勲と出会います。
そして、勲の存在を知るとともに、「清顕の転生の姿では?」という思いを強めていく本多。
一方、勲は「神風連史話」に心酔し、栄光ある死を求めて行動を起こしていきます。
感想
腐敗した日本を立て直すという正義のために、命がけの計画を立てる勲。
今の時代に生きる私には、あまり共感はできないです。
戦時中を描いた物語ではやはり、「お国のために、命を投げうつ」という感覚は美談のように扱われる場合があります。
きっと私なら、その行動の先にある、「死の恐怖」というものの存在が大きくなってしまい、きっと成し遂げられないでしょう。
主な登場人物である勲は、そんなことは全く思わずに、むしろ憧れを持って計画を進めて行き、その心情は読み手にとっては、緊張が高まっていくほどに力が入ってきます。
一方、前作では青年だった本多は、三十八歳になっていて、判事をしています。
本多は勲を取り巻く大人の中でも、数少ない理解者であるはずです。
しかし、勲からしたら「父の古い知人」という大した存在ではないため、そんなに意識していないのが、読んでいてもどかしいです。
本多も中年に差し掛かって、若者を見守る立場になったことで、それとは対照的な勲の若いエネルギーが、更に勢いよく思えるような気がします。
どうしても、三島由紀夫と言うと、市ヶ谷駐屯地での、軍服で演説をしている姿が印象強いのですが、そのときの三島由紀夫と勲のイメージが重なることが多くありました。
堂々と決意を持った表情をして、自分の正義に向かって突き進む。
そんなふうに想像する、勲の心境と行動力が大きな見所です。
こんな人におすすめ
〇自分の命に代えてでも、日本の腐敗を取り除くいう決意を持った、青年の生き様を感じてみたい人
〇死というものに憧れ、それに向かって突き進んでいく緊迫感を感じてみたい人
ここまで読んで頂き、ありがとうございました!
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